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Amor vincit omnia__愛の勝利

第22章 彼と彼女の事情(跡部景吾)





「頼華……っ!!」

ちゅ、と背伸びをして軽く彼の耳に口付ける。
最近わかったのだが、景吾くんはどうやら耳が弱いらしい。
舌でなぞるようにすれば、さらにぴくりと動く身体。
そんな姿を見ていれば、じんじんと体が疼き出す。

耐えきれなくなり、彼に強く抱きついた。


「……いま、シて…?」
「…っ!」


綺麗な瞳が真ん丸になる。
すぐに私の気持ちを理解したのか、返事だと言わんばかりにはじめから深いキスが降ってくる。

「ん、っふ…ぁ…」
「…っ、ん」

高鳴る鼓動にキスの最中目を開ければ、綺麗な青い瞳がこちらを見ていて。
もっと、と強請るように彼の首に手を回せばガッツリと後頭部を押さえつけられ、芯まで深く入り込もうとする彼の舌。
ぴちゃぴちゃと水音が自分の耳を更に刺激して。


「…は、ぁ…」

漸く離された唇に銀色の糸をひいて。
どうやら身体は疼きが収まりそうもなく、景吾くんの胸元に顔を寄せればドクドクと聞こえるのは己のそれか彼のものか。
ここが部室だとわかっていて、誰がいつ来るかもわからない、そんな状況でも体が熱くなるのは抑えられそうもなかった。


「…ひ、ぅあ…」

唇から首に、下に下にとズレていく彼の口付けに否が応でも反応させられて。
ただ、目の前の景吾くんに酔いしれている自分がいた。



******

跡部side

「……いま、シて…?」

紅く染った頬に潤んだ彼女の瞳に俺の中のギリギリ保たれていたであろう理性が、プツリと切れた。
キスしてやる度に震える頼華の身体。自分が与える快感に感じてくれていることに気分が良い。

キスする度に、感じる彼女にふと昔を思い出す。
初めて彼女を見つけたあの日、付き合った日、はじめてキスをした日。
そして、はじめてひとつになった日。
あれからもう、3年か、と思いながら感じる。
あの頃から少し成長した身長、そしてふくよかな膨らみ。
幾度となく、彼女を抱いてきた。
それは日々回数を増していることもわかっている。
だけれど、それでも良い意味で飽きがこないものだと実感する。


自分の与える快感に溺れる頼華に己の欲望が静かに起き上がるのを感じながら。

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