第20章 お題2
火神大我
*******
「うー…あったかーい」
ちゃぷん、と揺れる湯船にはぁ、と息を吐く。
冬休みに入った初日。
彼氏である火神とデートした後に、珍しく帰したくないと甘えてきた火神。急遽お泊まりになり、お風呂に入っていた。
「おい、頼華」
コンコンと扉がノックされ、びくんと反応する。
体を拭く手を止めて火神の呼び掛けに答えた。
「な、なに?大我」
「ここに着替え、置いておくぞ」
「え、あぁ、ありがと。」
確かに急なお泊まりで、着替えは持ってきていない。
そうなると火神の服を着るのは至極当然のことだ。
ガチャりと扉を開けると用意されていたのはやはり火神の洋服だった。下着はお風呂に入っている間に自動乾燥機付きの洗濯機を火神に借りて自ら洗濯していたのだが。
体が冷える前に手早く下着を身につけ、用意された服に手を伸ばす。ふわりと香るそれは火神の匂いで、きゅんと子宮が疼いたのが自分でもわかった。
「大我の匂いだぁ…」
両手でぎゅっと自らの鼻腔に近づける頼華。
かなり大きいサイズの火神のトレーナーは頼華をすっぽりと覆っており、ズボンは最早必要ないほど、膝まで覆い隠していた。
「ズボンは、いいかな」
長いしな、と思い、ガチャりと洗面所の扉を開けるとすぐ目の前には火神がいた。
「う、あ…大我」
「わ、悪ぃ、」
「も、もしかしてさっきの…」
「あぁ、聞こえてた」
最悪だ、匂いを嗅いでいたのが火神にバレた、と赤に染る頬。
穴があったら入りたいほど恥ずかしかった。
「…てか、それ」
「あ、えと、これでいいかなーなんて……!!」
ぐいと引っ張られたと思ったら、姫抱きにされていた。
「ちょ、大我…!」
「…可愛すぎ」
「!!」
ストンとベッドに座ったと同時に押し倒された。目の前には天井を背にした火神が見えた。
「ひ、引いてないの…?」
「あ?匂い嗅いでいたことか?」
「い、言わないでよ…!」
「引くどころか、寧ろ煽ってんのか」
ちゅ、と軽いキスが降ってくる。それからも至る所にキスの嵐が振る。
「やべぇ、な」
「たい、が…?」
「止められそうにねぇ」