第20章 お題2
「そんなに俺の匂いが好きか?」
「ふぇ…!?」
「口に出てるぞ」
「え…あ!」
心の声が口に出ていたとわかった瞬間、かぁぁっと顔を真っ赤にする彼女。変態みたいじゃんあたし…!と恥ずかしそうに顔を隠した。
「おい、頼華」
「み、見ないで……!!」
ぐい、と急に引かれたと思ったら跡部の胸元に落ち着いた。
「あー、暖かいな」
「ちょ、景吾くん…!?」
「じっとしてな」
耳元でそう囁かれれば、う、と大人しくなる頼華。
「俺様もお前の匂い、好きだぜ?」
「っ…!!」
「なんかすげぇ甘そうな匂いするよな…」
「じ、柔軟剤じゃないかな?」
「いや、違ぇな。お前自身の匂いだ」
スンスンと首元に顔を埋められてさらに頼華の頬は紅潮していた。
「…感謝しねぇとな」
「何が?」
「いや、こっちの話だ」
ちゅ、と首元にキスを落とせばぴくんと反応する頼華が可愛くてさらに強く抱きしめた。
「おい、ここテニスコートだぞ」
「またやってんのかよ跡部ー!」
「相変わらず溺愛しすぎだろ」
「なんかもうこれが毎回恒例のような気がしますけど」
ベンチでいちゃいちゃとふたりの世界に浸る跡部と頼華を傍観していたR陣。そのなかで滝は幸せそうに笑う頼華をただただ優しい顔で見守っていた。
彼ジャー、というものを跡部にこっそり教えていた忍足は終始にやにやしながら、ええなぁ、と密かに笑っていた。
End