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Amor vincit omnia__愛の勝利

第18章 お題(全キャラ+‪α)



XANXUS
※付き合ってまもないお話

*******

「…前の女は容易かったんだがな」


先程のXANXUSの言葉が未だに耳に残っていて、それをかき消したくて頼華は耳を塞いで塞ぎ込んでいた。



先刻、XANXUSと喧嘩した。
付き合ってからというもの、喧嘩などしたことはなくて。喧嘩寸前、てのは多々あったものの、ここまで深く傷ついたこともなかった。

お互いがお互いを大切に思いすぎているが故に、とでも言うのだろうか。不満をぶつけられずにいたふたり。
それが一気に爆発してしまったのだ。


自分の知らないXANXUSなんて知りたくもなかった。それは女関係というものが着いてまわると分かっていたから。
昔から女は性の捌け口だとしか思っていなかったXANXUS。
愛人レベルのものであり、頼華とは違うのだが。

「…ざ、んざす」


愛しい名前のはずのそれを口にすると今はそれがとても辛い言葉に思えた。






「…呼んだか?」


え、と扉の方に目をやるとそこに居るはずのないXANXUSがいた。



「な、なんで…?鍵、しめたのに、」
「…」



頼華に返事をする間もなくXANXUSは彼女に近寄っていく。頼華も逃げようとするが、窓際まで追い詰められていた。




「……っ」
「…泣くな」


誰が泣かせてるんだとキッ、とXANXUSを睨みつけるも暗殺部隊のボスにそんなもの効くはずがない。
XANXUSがふいに手を伸ばすと頼華はぎゅっと目をつぶった。と同時にふわりと愛しいひとの匂いが頼華を包む。



「……」
「……」

暫くXANXUSは頼華を抱きしめていた。
頼華も最初は抵抗してはいたものの、それが効かないとわかると大人しく、されるがままになっていた。



「…お前は愛人とは違う」
「……っ」


愛の伝え方を知らないXANXUSの不器用な台詞。これが彼にとっては精一杯だっただろう。
いつもは大きいその背中が僅かではあるが震えているような気がした頼華はゆっくりと、その背に手を回す。

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