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忍ぶれど色に出でにけりわが恋は物や思ふと人の問ふまで

第8章 蛇の道は蛇



「あの男、俺たち村上組に乗り込んできて老人一人殺せと言いに来た!それに差し出してきた金五両!
 たかが老人殺すのに五両差し出してきたってぇ事は、その老人が只者じゃねえってことよ!」
「それじゃあ五両じゃ割に合わねえっていやあ、その男、銀二の腕を斬り捨てやがった!」
「だからなぁ、もっと金を頂いて命もいただいちまおうって算段よ!」

思わずあきれ果てたため息を吐くところであった、
真葛は慌てて驚いた顔を作る、

「本当に何もしらねえんだな」
「知りませんよそんな男の事なんて」

村上組と名乗った男たちは顔を見合わせる。しかしその後にその頭領らしい男が姿を現し状況が変わる。

「出鱈目を言うもんじゃねえぜ夜鷹の真葛さんとやら、こっちは手前のことはすっかりと解ってるんだからよ」
「……何を、」
「だから柘植の九郎太の居場所、さっさと吐いた方が身のためだぜ」

――そこからは、竹の鞭で口を割らせようと気絶するまで叩かれていた、
2,3度水をかけられたがそもそもどこに行ったか知らずに待っていたのだから割る口すら持っていなかったが、知っていたからといっても何も言うつもりなかった。

強情なやつだと言い捨てていった男達は何時戻ってくるのか。縄抜けの技術を持っていなかったことを悔やみながら真葛はまたため息を吐く。

ガヤガヤガヤと小屋の外が騒がしい。どうやら男たちが帰ってきた様子、下卑た笑いを浮かべながら頭領の男を筆頭に小屋に入ってくる。

「よう夜鷹の真葛さんよ」
「なんです?夜鷹の真葛にならばいくら聞かれても柘植の者などしりませんよ」
「くくく、強情だねえ。
 いやもう構わんさ、お前さんの居た旅籠の部屋に置手紙を置いてきた。放っておいても向こうからくるだろうさ。
 だからここからは……アンタでお楽しみのお時間だよ」
「まあまあ、話を聞いていなかったのかしら、
 病気ですよ、私」
「知った事じゃないねえ、アンタみたいな上物抱けるならそれが嘘でも本当でも構いやしねえ!」

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