• テキストサイズ

水際のテラル

第5章 出逢いは晴れのち嵐



ひたすらに走る。
血走った目をした大きな獣がその後を追ってくる。

木々の間をすり抜けてジグザグと方向転換をしながらも、相手が自分を見失わないように、さりとて、けして捕まらない絶妙な距離感を保つ。

木陰で絶をして気配を消しては、少しだけ離れたところで姿を現した。

「もう、少し」

崖を飛び越えた先で大きく右に逸れると、先ほどまで居た場所に大きな爪が振り下ろされた。

「ジン!」

呼び掛けと同時に落とし穴が口を開く。
穴の中腹には丈夫な縄が張り巡らされ、縄と縄の間に落ちた手足は宙ぶらりんの状態だ。
身動きのとれない獣に麻酔を打って大人しくなるのを待った。

「捕獲完了ぉ」

「お疲れー」

「ちょっとぉ僕の負担大きくない?
あり得ないんですけどぉ」

「むくれんなって」

大きな手がワシワシと髪をかき混ぜる。
ペシッとそれを叩き落として穴の中の獣を見下ろす。

「これは、食べちゃ駄目なんだっけぇ?」

「駄目だ」

そこらにいっぱい居るのは、過度でなければ食べても良いって言われるけど、こいつは駄目らしい。
状態を調べてマークを付けて逃がす。
ノートに細かい記録を取るのも中々に慣れてきた。

/ 18ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp