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水際のテラル

第5章 出逢いは晴れのち嵐



火をおこして蛇を焼く。
ジンと名乗った男は何故か僕の隣に座り込んでいて、これまた何故かどうでもいい世間話をしてしまっている。
ジンはハンターらしい。
僕が暗殺一家だと言ったら見えねぇって笑われた。
かなり変な奴だ。

「弟を置いてきちゃったんだけどねぇ。
2歳くらいだからさぁ、僕の事忘れちゃうんじゃないかなって」

「2歳くらい、ねぇ」

「んー?」

「いや、オレの息子も同じ年の頃だからよ」

「ふぅん?置いてきたのぉ?」

「ああ」

ずいぶん若い父親だなぁ。
いや家の兄弟が年齢離れてるだけかもだけど。

「で?ハルイは家から出て何故か真っ先に此処に来たらしいけど、ずっと此処にいるわけじゃないんだろ?」

てかなんでこの森に?という問いに興味があったんだと返す。

「興味?」

「そう、生態系とかに」

「世間知らずを治したいって話じゃなかったか?」

確かに世間知らずを治すなら、街に住むのが手っ取り早い気はするけど。

「んーそれはまぁ追々ねー。
まずは生態系を知ることからしたかったからさぁ」

「ほー変な奴だな」

「え、貴方には言われたくない」

「真顔で言うな」

焼けた蛇の肉にかぶり付く。
ちょっとパサパサしてて小骨が多いけど食べれないことはないなって感じ。

「でも実際さぁ、人間のコロニーだけ見て世界を知った気になるのも、違うかなって思うんだよねぇ」

「まあそれはそうだわな」

「この世界の成り立ちとかもちょっと気になるしぃ」

「じゃあお前ハンターになればいいんじゃないか?」

幻獣ハンターとか案外向いてそうだとジンが笑う。

「ライセンスがありゃ色んな所入れるし、旅をするには良い手だと思うぞ」

「ふーん、ハンター……ハンターかぁ」

のんびり考えてみるよと言うとじゃあその間オレの仕事を手伝えと言われて。
まあ暇だから良いかと軽く了承したら、数ヵ月の間一緒に過ごすことになるとは、この時は思ってもいなかった。

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