第5章 出逢いは晴れのち嵐
やっぱりろくでもない方法だった。
他の受験生全員倒せば良いとか何だその脳筋的発想。
しかも試験官によっては受験生一人でも最後までやるかもそれないじゃないか。
「だからお勧めはしねぇって。
ここでぐだぐだ言ってたってしょうがないんだ。
ちゃんと真面目に受けりゃいいじゃねぇか」
「分かってるよぉ……」
焚き火に枯れ枝を放り込むと嬉しそうにパチパチ火花を上げる。
冷え込んでいるのは気温のせいかそれとも
「なんだオレと離れるのが寂しいのか」
「違うけど?!」
ジンはいれば便利ってだけで別にいなくても良いと言うと、可愛くねぇって頭を殴られた。
「うん、でも、ちょっとは惜しいって思ってる」
だって試験を終えたらきっとジンはもう此処にいないのだ。
このペースであれば丁度試験が始まった頃合いに、この辺りの生態系の調査は終わる。
そしたらジンはまた別の場所へ行くのだろう。
ボクもそこまで調べたらもう用はないから、此処へ戻ってくることはない。
この先お互い好きに飛び回って、もしかしたらもう一生逢うこともないかもしれない。
そういう自由さをジンは愛しているのだろうし、ボクもそうありたいと願うから。
「生きてりゃまたそのうちどっかで逢うだろう」
「うっかり死なないでよねぇ」
「勝手に殺すな」
ふふ、と笑って立ち上がると、冷たい風が髪を拐う。
もうすぐそこまで冬が来ていた。