第4章 無知という死病
「キルアおはよぉ」
「あよぉ」
ふにふにの頬っぺたをつつくとキャラキャラ笑う。
小さな弟は可愛い。
イルミともミルキとも違う明るい色。
僕と同じ色をしている弟。
僕と違って性格も無邪気で明るい子。
笑いかけたら数百倍も輝かしい顔で笑って、グズってても抱っこして背中をトントンすればうにゃうにゃ言いながら眠るのだから、可愛くて仕方ない。
「僕さぁしばらく家にあんまり帰れなくなるけど、忘れないでよねぇ」
「うー?」
「キルアは僕の弟なんだから、おにーちゃんのこと忘れちゃダメだよぉ?」
「にー!」
「いいこだねぇ」
子守唄なんて歌えない。
慈しみ方だって知らない。
距離感だって甘やかしすぎだって言われるし。
イルミみたいに弟の為だからと厳しく出来ない。
ミルキみたいに年相応の、兄弟として当たり前みたいな反応もできない。
けれどキルアが笑ってくれるから
僕はキルアのお兄ちゃんでいられる。