第1章 波乱の幕開け
真澄くんが来た後はあっという間に人が入ってきた。
「……じゃあ、だいたい揃ったみたいだし紹介するね。
この子は私の従兄弟、立花もも!
この春からこの劇団の近くの大学に通うことになったんだけど、家元から大学が遠いから、下宿先を探してたから私が誘ったの。
ちなみに、ただの下宿じゃなくて皆が公演控えてて忙しい時の料理や家事を担当してくれます。
あとももちゃん、脚本も少し携わったことあるらしいから最初は綴くんの助手をしつつ、慣れてきたら本格的に書いてもらうつもり!」
どう?凄いでしょ?と言わんばかりの紹介っぷり。
そんな風にいづみちゃんに言って貰えるのはすごく嬉しい。
「こんにちは、いづみちゃんの紹介よりここに住まわせて頂くことになりました立花ももです。
掃除や家事はともかく、脚本に関しては至らない点が多いかと思いますが頑張って勉強して行きますので宜しくお願いします。」
頭を下げると、拍手が聞こえた。
「ももちゃん、宜しく!」
「ももさん、宜しくお願いします!」
良かった、好意的に受け入れられてそう。
「じゃあ、ももちゃんの部屋に案内するから来てもらえる?とりあえず今日は荷物部屋に運んだり整理するので大変だろうから、終わったら休んでてくれていいよ!私はこの後も夏組のお稽古に行くから、何かあったら周りにいる人に聞いてくれる?」
そうか、いづみちゃんこの後も忙しいのか……。
「分かった。」
そう言うといづみちゃんは部屋に案内してくれたあと、慌ただしく出ていった。
(元倉庫とはいえ、いづみちゃんの部屋の真正面か……嬉し。)
そんなことを思いながら、荷解きを始めた。