第39章 恋人たちになりたくて
「……僕はつい恥ずかしくなって、色々振る舞ってしまうんですけど。」
「子供か。」
「今この瞬間、いつでも叶さんのこと好きなように粛清できるってこと、お忘れなく。」
「…あい。」
「……えっと、つい恥ずかしくなってしまうんですけど。」
「…うん。」
「でも、こういうこと…恋人らしいことも大切にしていかなきゃなぁって。」
「……!」
「ええっと、そうですね。僕はちゃんと叶さんと恋人してたいって…いつだって思ってますから…今だけじゃなくて。」
何が言いたいんだろう。あやふやにしか言えなくて、もどかしい。ちゃんと叶さんに気持ちを伝えたいのに。
思わずそのまま硬直してしまったのだが。
──背中に回された叶さんの手が、ぎゅうっと一層強く僕の肩を掴んだ。
「…叶さん…?」
「もう、本当…」
「え?」
「無理、死にそう…嬉しすぎて…!」
そう言ってこちらを見上げた叶さんは熱に浮かされたような瞳をしていて。
「…っ…//」
「ほんと、もう…宗次郎ったら…気持ちの持ちようが…//」
蕾が綻んで開いていくようにみるみるうちに照れた笑顔を浮かべる様を見て、己を抑え切れるはずもなく。
「叶さん…っ…」
「…あ…//」
「じゃあその気持ち、僕に預けてください…?」
そっと顎を上げさせ、見つめ合った互いの熱い眼差し。
潤んだ瞳がゆっくり閉じられていくのを見計らい、そして唇を重ね合わせた。
──しばらくして唇を離すと、溜め息と共にこぼれる悩ましげな声が微かに響く。
「は…ぁ…//」
「…ごちそうさま。」
「……いえ、こちらこそ。」
恥ずかしげに目を伏せた叶さん。
その言葉に思わず笑いかけ、今度はちゅ、ちゅ、と小鳥の啄みのようなくちづけを落とした。
「ふ、ん…っ…」
「…普通はね、男だけが言う台詞ですよ。」
「だって、そう思ったから…」
「はいはい…」
もう一度、優しく抱きしめると、くぐもった声が聞こえた。
「……?」
「…おかえり。」
「……ただいま。」
笑顔を見せながら、また、くちづけを落とした。
恋人たちになりたくて
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