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彼に食ってかかられる

第39章 恋人たちになりたくて


罰が悪いのか、そのまま応答がない──肯定ということだろう。
…なるほど、確かに傍らにお皿が置いてある。



「…何が起きたのかと思いましたよ、もう…」

「いや…まさかあのタイミングで宗次郎が帰ってくるとは思わなかったから…」

「というか、こんな夜中にお菓子食べます?普通。」

「宗次郎は食べないわけ?それでも甘党?」

「食べますけど。」

「ほら、人のこと言えないじゃん…」

「…馬鹿。うるさいですよ、もう。」



叶さんが待ってくれていた──そのことに体の中心が熱くなってくる。

そして、いつもの調子を取り戻した叶さんに安心する気持ちでなんだか手一杯になってしまって、思わず叶さんの体をぎゅうっと、強く抱きしめた。



「…そ、宗次郎…心臓ばくばくするんですけど…//」



ぽつん、と至近距離で囁かれた叶さんの声。



「僕は落ち着いてますけど。」

「え、そう返すの…え、えっと…//」

「…手はそのまま、僕の背中に回して。」

「……うん。」



驚きで、一度離れてしまった叶さんの腕が再び這わされる。大事なものに触れるように、そっと。




「…足りない。」

「えっ?」

「もっと、しっかりくっついてください。」

「え、えぇ…?//」

「つべこべ言わない…ほら。」

「は、はぁい…」



衣擦れの音と共に背中を辿っていく手。やがてしがみつくように、背中から肩にかけて伸ばされていく。



「こう…?」

「…はい、いいですよそれで。」

「……」

「なんで黙るんですか。」


「…今日は、恋人したい日なの…?」

「……なんですか、恋人したい日って。」

「なんとなく…命名した。」

「なんとなくですか。」



押し黙る叶さん。その胸の鼓動が激しくなっているのを肌で感じ取ったので──少し力を緩めて彼女の後頭部に手を伸ばし、抱きしめながら優しく撫で下ろす。
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