第38章 Dear,my…
(叶さん…明日のこと心配してるかな…)
長い回廊を抜けていき、自ずと訪れたのは叶さんの部屋。扉を前にするとほんの少し緊張を感じてしまう。
(こんな遅い時間に叶さんの部屋を訪ねてもいいのかな…寝てしまっていたら悪いし、それに…)
殆ど消灯されて夜の闇に落ち込んだ景色。
──こんな時間に恋人を訪ねていくなんて…時刻が時刻だけに、なんだかいらぬ意識を持ってしまう。叶さんにも必要以上の警戒心や緊張感を持たせてしまいそう。
だけれど。
(ちゃんと眠ってたらいいんですけど…
でも、叶さんのことだから…もしかしたら待っててくれてる気もするんですよね。そうなると様子を見ないわけにはいかない。)
意を決して前を向いた。そして。
──少し控え気味に扉を叩いてみたが、返事はない。
「叶さん寝ちゃったかな…?ちょっと失礼しますね…」
最低限の音だけ立てながら、そっと扉を開けてみたのだが。
「…あれ、叶さん…いない…?」
見渡す限り、其処はもぬけの殻で。
──どこに行ったのだろう。
暫く静止して考えていたのだけど、あっ、と声を上げて宗次郎は其処を後にした。
「きっと、叶さん…」
向かう場所は…