第6章 ラブストーリーは突然に
「暇だなぁ…」
暇を持て余していた私はアジトをぐるぐる巡っていた。
志々雄さんは鍛錬に行っちゃったし、由美さんも部屋に行っちゃったみたいだし、宗次郎は十本刀集めに行ってていないし…
…宗次郎。
…あの顔思い出すと再び腑に落ちない思いで満ち満ちてきた。
あの笑顔、無邪気なあの笑顔の裏には黒いっていうかド汚いどぶ色のオーラが隠されてるに違いない。
だってね…!
一週間前──
『それじゃあ暫く留守にしますけど、』
『はーい♪行ってらっしゃ~い!』
『やけにいきいきしてません?』
『え、そ…そんなことないよ。』
『図星ですか。単細胞ですね。』
『だって、早く起きろ寝ろとかご飯不味いとか言ったり、なんか姑がいなくなるみたいで…』
『惰眠を貪るしか能がない割によく言いますね。』
『なっ、失礼な!志々雄さんを癒す役くらいこなせてます!私を見てると楽しいって言ってくれますもん。』
『知ってます?それ、笑われ者って意味ですよ。』
『国盗り開始前に宗次郎のタマを盗ってやる…!』
『…あなたには恥じらいとか品性とか女性の嗜みといったものはないんですね。』
『!ち、違うから!命!命のタマだって!』
『みなさーん、聞いてくださーい、叶さんったらねー』
『うわああああ!早く行ってしまええー!!』
──なんてことがあったわけです。
宗次郎に関われば関わるほど、何かドジを踏んでしまうわけで。
…ああ、また腹立ってきた…!
志々雄さんの鍛錬が終わったら愚痴を聞いてもらおう。
待っていようと鍛錬場の方に歩を進めると声が聞こえてきた。
「宗次郎、大事な客人に部屋を見つくろってやってくれ。」
「はい。」
え?客人?こんなところに?
ていうか宗の奴め、もう帰ってきたのか。もうちょっとのんびりしたらいいのに…
耳をそばだてていると、中にはどうやら沢山人がいるみたい。
…あ、十本刀の人達いっぱい出て来た。
……夷腕坊さん相変わらず頭悪そうだな。
客人って、どんな人だろう?
──宗次郎に続いて出て来たその殿方。
思わずまじまじと見つめてしまった…!
だ…だだ、誰!?か、かっこいい!!!
「四乃森さん、こちらです。」
「…」
か、かっこいい…!!四乃森さんっていうのか!