第6章 ラブストーリーは突然に
……かっこよすぎる!すっごくイケメン!そして背高い!そしてすっごくクールそう!!
身悶えしながら眼差しを送り続けていると、気配を感じたのか振り向いたのは宗次郎だった。
…なんかちょっと白けた目で見てくるんですけど。え、なに。
「……何くねくねしてるんですか。気持ち悪い。早く御手洗に行けばどうですか。」
「開口一番に泥投げます?普通。」
「泥みたいな顔してるんだからいいじゃないですか。」
「泥みたいな顔ってなに。…それより!こんなところで誤解招くようなこと言わないでくださいっ。」
「は?」
くそ、四乃森さんのお耳にとんでもない誤報を。
って四乃森さん、こっち見てる!?
は、はああああ、どうしよう!?
…こうなったらやけくそだ。猛ろ私のアドリブ力。
「あ、あの~。初めまして、遠いところまでよくいらっしゃいました。」
「…」
「私ここの女中の叶と申します。」
「…」
「何か御用の際はご遠慮なくお申し付けくださいませ。」
「……」
……あれ?なんか変なこと言ったかな?四乃森さんの顔色変わらない…?
何も返事返ってこないけど、何か怒らせるようなこと言ってしまった…?
…それより何より、横の宗次郎がめっちゃ見てくるんですけど…!
あれ、瞳孔開いてない?な、なんか怖い。やっぱり何かやらかしたんだ…!
た、退散した方がいいかな…?
「あ、えと、その…」
「…」
「…ご、ごご、ごゆっくりー…」
「…今のところは間に合っている。」
「!」
四乃森さんが喋った-…!声もなんだか素敵…!
「さ、左様でございますか!」
「ああ…」
「え…、えっと、ほら、そ、宗次郎ご案内よろしくっ。」
変にどもる私はいたたまれなくなり、宗次郎に後を託せば安心だと思い、手をひらひらと振った。
そうするしかなかった。
……安心した一方、いつもの笑顔のはずなのに、去り際こちらを向いた宗次郎の視線がなんか怖かった……
まあいいや。とにかく、明日は四乃森さんに朝ご飯持っていこうっと♪
ラブストーリーは突然に
(るんるん♪素敵な人だなぁ♪)
(…なんだかイライラするなぁ…)