第32章 弱味は蜜の味
「もし叶が協力してくれるなら宗ちゃんの弱味が
「やらせてください。」
「そうこなくちゃ♪(うそ!?苦し紛れの冗談にこんなに食いつくなんて。)」
──悪者二人はこうしてかくかくしかじかで、話をまとめた。
「じゃあ…飲み物に入れて飲ませるだけでいいんですね?」
「そうそう♪飲ませたらあたしを呼んでちょうだい。よろしくねぇん♪」
「ラジャーです!」
* * * * *
「叶さん、何してるんですか。」
「………」
説明しよう。
──やる前にバレました。
「飲み物に何か入れるとしたら………さしずめ、毒物とか…あるいは自白剤ですか。」
楽しそうにテキパキと状況把握する宗次郎。
「バカ…!私の、バカァ…!なんでもっと警戒しなかったんだ…!」
「叶さんが僕を陥れようなんて100年早いですよ。」
「そ、その私にちゅーしたのは誰ですかぁ?」
「へぇ…そんなこと言うんだ。」
「怖い怖い怖い!!」
「で?誰の差し金ですか?見当は付いてますけど。」
「な、なんのこと~♪」
「言わないのなら簀巻きにしちゃいますけど?」
「鎌足さんです。」
(この小娘ェ…!!覚えてらっしゃい…!ひとまず退却よ!)
隠れて様子を見ていた鎌足は舌打ちをしながらすぐにその場を後にするのであった…
「で、叶さんはなんで調子に乗って協力してるんですか。」
「宗次郎の弱味を握……じゃなくて鎌足さんのお団子の無念を晴らす為にです!」
「…お団子?」
「うん、お団子。」
「…………」
「…え?何?まさか本当に食べたん?」
「あれ…ひょっとして戸棚にしまってたの、ですか?てっきり、志々雄さんのだからいいやと…」
「まじかよ。」
握れたよ弱味。
たなぼた、ひゃっほー!
「まあ叶さん。今回は引き分けですね。」
「え…?」
「ほら、僕だってこの現場しっかりと抑えちゃいましたから…」
「……」
「ね?」
「…嘘。言ってみただけです。」
「え?」
「二人だけの秘密ってことで。」
ふふ、と宗次郎は楽しそうに笑いかけた。
──もしかしたら…もう既に同じ立ち位置?