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彼に食ってかかられる

第28章 乙女の恥じらい


「何か考えてます?」

「…私、髪の毛そこそこ長いじゃん?やっぱり長いと面倒だなーって。洗うのも乾かすのも。」

「…あー、たしかにさっきも時間かかりましたよね。」



「元に戻ったら短く切ろっかなー。」

「えー…」

「…あれ?嫌?宗次郎は長い方が好きだったりする?」


「叶さん髪まで短くしちゃったら、いよいよ女の子に見えなくなっちゃいますよ?」

「何の心配してるのよ。」

「冗談半分、本気半分です。…まあ、」



──少し寂しい気がしますけど。いつもあるものがなくなっちゃうみたいで。



「あれ?どうした?……あれ、宗次郎。さてはデレたか。」

「次はボディーソープにします?準備はいいですか?」

「良くない良くない!なんで目隠し取ろうとするわけ!?」










無事に身体を流し終えて湯船に浸かる叶さんを眺めて一息ついていたんだけど。

ふと、気付いた。叶さんの様子がおかしい。


「叶さんっ?」

「うー…あう…宗次郎……」



ぐったりとした表情。


「…あー。逆上せてますね…長風呂し過ぎたかなぁ。」


立てそうになかったから抱え上げて、浴場の外に出る。あー、顔とか真っ赤っかだなぁ…



「叶さん?叶さーん…?」

「頭が…ぐるぐるする~…」

「えーと。水と冷やすもの、かな。」





とりあえず水を飲ませ、軽く身体の水気を拭いていく。そして冷やした手拭いを叶さんの額や腕に乗せる。

──着流しを着させて、ちょっと落ち着いたら部屋に連れて行こう。そう思った時に自分の身体を見て気付いた。



「…あ。」


着物がずぶ濡れだ。ぽたぽたと止めどなく雫が滴り落ちていく。…そっか、叶さん湯船から抱え上げた時に。


「どうしよう、着替えたいけど…」


…でも。あんなに見られるの嫌がってたからなあ。勝手に着替えちゃったらかわいそうですよね…




「……どうしようかな。」


どうしようか。どうしようか。





乙女の恥じらい
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