第28章 乙女の恥じらい
「はあ、私のお仕事ほぼ完了…!」
何はともあれ、無事に湯船に浸かる宗次郎を眺めてほっとため息をついた。
「あとは着物着せて髪の毛乾かすだけだから、あと一息だ…」
「…あの、そういえばなんですけどね。」
「ん?」
「叶さんは…僕の体はどうするんですか。お風呂入らないって選択肢は…ちょっと嫌なんですけど…」
「……たしかに!!どうしよう!?」
忘れてた!…え!?ひょっとして、宗次郎の体見なきゃいけないわけ!?
ちょっと待って!待って、無理!!!!
「…僕の入浴を終えたら交代しますか?」
「…そうしよっか!うん、そうするしかないか…!」
「ねー。叶さん。叶さんまで目隠しする必要はあるんですか。」
「えっ!だ、だって一応は乙女ですからっ。」
湯浴みを終え着物を着替えた(もちろん叶さん監修のもと)僕と、僕の身体のまま目隠しをして着物を脱いだ叶さん。
「…そういうものなんですか?」
「そういうものなのっ。」
…叶さんに身体を見られることは恥ずかしくないのか、と言われれば、決して恥ずかしくないことはないけど。
でも僕の場合は、別に見られたって減るもんじゃないし、仕方ないと思うんだけどな。まあいいか。
「…あとですね。叶さん。あの、そうやって自分にタオル巻き付けて必死に胸元隠してますけど………僕の胸を隠して何か意味はあるんですか?」
「だっ、だって…!いくら今は男の人の身体になってるって言っても、胸もろ出しは恥ずかしいんだってば!感覚的に!気持ち的に!」
「そういうものなんですか?」
「うん!」
「まあいいけど…あまり僕の姿でもじもじしないでくださいね。」
「うーん。多分努力する。」
「多分って。」
* * * *
「ね!宗次郎、頭洗って♪」
「……自分で出来るでしょ?」
「えー、やってあげたじゃん!私もやってほしい-!」
「良くないですよ、自分がしたからって見返りを求めるの。まあ仕方ないですね。今回は特別にやってあげます。」
「わーい、ありがとうねー。」
多分、僕を召使い扱いしてることで上機嫌なんだと思う。叶さんは鼻歌なんて歌いながら、一方で何かを気にしている様子。