第27章 湯の花騒動
「叶さんー、そっちじゃないです。もっと右。」
「こ、ここ?」
「あ、ちょっと行き過ぎです。…あ、その辺です。人に頭洗ってもらうって気持ちいいですね。」
「いつもより召使い扱いじゃない…」
「あはは。でも、したいって言ったのは叶さんですよ。」
「まあ…今私は宗次郎だからね。見ようによっちゃ、宗次郎が召使いしてる光景だからこれ。」
「何か言いました?」
「目が!!シャンプーが!!目があぁぁ!!」
叶さんは叫び声を上げて顔を着物に埋めた。
…心なしか、僕だけが着物を着ていないという状況は心もとないですけど、仕方ないなぁ。
そう感じた時だった。
「…!あ、叶さん叶さん!まずいです。」
「な、なに!?」
目に入ったシャンプーを洗い流し、慌てて宗次郎に向き直る。
「タオル外れそうです。」
「!どっち!?目?胸!?」
「両方です。」
「ぎゃああ!!」
色々ほっぽり出して慌てて勢いよく胸元を締め付けると。
「叶さん…ちょっと苦しいです。」
「呼吸は出来る?」
「それはまあ…」
「じゃあ我慢して!緩いと落ちちゃうから!」
「無茶苦茶だなあ…」
「だって!見られるなんて恥ずかしいもん!!」
はいはい、と仕方なく言いながらも内心なんだかおかしかった。
湯の花騒動
(そこはやっぱり女の子。)