第27章 湯の花騒動
困ったのはその日の夜のことだった。
「本気ですか?」
「本気よ、本気。」
「かなりあやしい絵面ですよ?」
「誰が見てるっていうの?」
「まあ…そうですけど。細かい人だなあ。」
厳重に叶さんに目隠しをされて脱衣所に連れて行かれた。そう、入浴に際し叶さんが色々と取り決めを行った。
…絶対に、見られたくないのだと。
だから、“私が洗う”のだそうで。
「ねー、叶さん。」
「なに?」
「脱がされるのはちょっと…恥ずかしいかな…」
「………」
「脱ぐのは目隠ししたまま僕一人でも出来るんですけど…」
「…だって、そしたら胸とか当たっちゃうじゃない。」
「………」
「今絶対“まな板なのに”って考えたよね?そうよね?」
「は?どれだけひがんでるんですか。」
「どーせ貧相ですぅ。」
…誰もそんなこと思ってないし、ましてや見たわけでもないのに自ら暴露してどうするんですか。
とも思ったけど、ああ言えばこう言うやり取りが延々続くことが予想されたからもう言わないことにした。
「…ちなみに僕の手…えーと、今叶さんが入ってる僕の体が叶さんの体に触れることに関しては問題ありませんか?」
「……!」
「あらかじめ確認しとかないと後で面倒ですからね。」
「………!」
…あれ、考えてる?いらないこと言っちゃったかな?
「叶さん?」
「これはいいのっ……たぶん。」
「最後、弱気になりました?」