第26章 素直な二人
志々雄さんは煙管を傾け、溜め息交じりに煙を吐く。
「とりあえず様子を見るしかねぇか。ややこしいからお前ら二人とも待機。」
「「はぁい。」」
「しかし…“叶にキスしちゃいました”…ってしょげてたくせにな。」
「?」
「……志々雄さんっ。」
楽しそうに笑う志々雄さん。
宗次郎は真っ赤に顔を染めていた。
「あーあ。このまま体が戻らなかったらどうします?」
とぼとぼと並んで部屋へと向かいながら、宗次郎は叶に問い掛けた。
が。
「宗次郎、一つ言っていい?」
「…なんです?」
「そりゃ…私って、まあそこそこ可愛い顔してる…のかな。そんな気がしなくもない…あ、ごめん、やっぱりわかんないや。」
「さっきの峰打ちが効いたんですか?」
「違うわい。…由美さんや鎌足さんには及ばないけど…宗次郎が惚れるくらいには可愛、いったあああ!?なにすんの!」
「単刀直入にお願いします。」
「ううん、えっと……私の顔でずっとニコニコしてるのやめれる?なんか、違和感が…」
「……」
少し考えながら、真顔になる宗次郎in叶。
暫くその顔を保っていたが、やがて…
「あああっ!?え、何してるの!?」
ごしごしと己の顔を擦りだした宗次郎を見て叶は取り乱す。
「わ、わかったわかった!!やっぱそのままでいいから!そんなに激しく顔…私の顔擦らないで…!!」
「…叶さんごめんなさい…癖みたいです…」
本気で申し訳なさそうにする宗次郎に、叶はやがてふふ、と笑みをこぼした。
「…そうだね。宗次郎だもんね。」
「でも、努めてはみます。」
「いいよいいよ。」