第24章 妄想少女の夢
どの本だろ?
今後のゆすりのネタにしようと思い立ち、宗次郎の抱える本を取り上げてぱぱーっと表紙タイトルを順繰りに見ていく。
(どれだどれだ!?宗次郎の良心にクリーンヒットしたのはどれだ?)
乗りに乗っていた私だったけど。
…ある表紙タイトルが見えた瞬間、ピタッと心身ともに停止した。
(こ……こいつぁ……!!!!)
……いわゆる、これは。
うん。純愛には違いない。うん。
しかし…ちょっとばかし過激な…
簡単に言うと絡みのある…しかもそれが結構濃厚めな作品だった…
私の心にメガクリーンヒットォ……!!
「……」
「……」
「…貸した本って、ぜ、全部…み、見たよね…?」
「……ええ。」
「なんかスミマセン…」
「いえ…その…意外だったんでびっくりしました。」
「ああもう…何も言わないで…」
ああ…なんてものを貸してしまったんだ。
表紙のかわいい絵柄に惹かれて買ったら、実はえっちい作品だったんだけど…
市場に出回ってる以上、私だけが読んでるわけじゃないんだけどさ…
落ち込む…
しかも「貸して」とか言われたわけじゃなく…
事故といえども自発的に貸してしまった形がなんとも…もう何も言えねえ…
「……その、叶さん。」
「ううぅ…何…?」
「…あの、大事な話なんですけど…」
「……?」
いつにもなく、神妙な面持ちと声色にドキッとする。
(……!!もしかしてドン引きしたから『別れよう』とか…!?)