第21章 惚れた腫れたなんか
「…ねえ由美さん。」
「…何かしら鎌足。」
白けた目で喧騒を眺める鎌足の問いかけに、由美も白けた目を逸らさずに言葉だけ返した。
「…あの子らさぁ、恋仲になったんじゃないの?」
「…そうらしいわね。」
「…あれはああ見えて新種のイチャイチャ状態なわけ?」
「…私も同じこと聞こうとしてた。」
「あ、鎌足さん。由美さんも。」
「…あら、宗ちゃんこちらに気付いたわね。」
「…叶伸びてるわね…」
肉団子…ばたんきゅう状態の叶をよそに宗次郎は爽やかに微笑む。
「これ、お二人にお土産です。ちょっと遠くに行ってたもので。」
鎌「あら、まあ!ありがと宗ちゃん!…じゃなくて。」
「?」
由「…ねぇ、ボウヤ?」
「?どうかしたんですか?お二人とも。」
鎌「ちょっと聴きたいことがあるのよ。」
微笑みを浮かべたまま尋ねる彼に二人は口火を切った。
由「あんた叶のこと、好いてるわけ?惚れてるわけ?」
鎌「愛してるわけ!?」
由「もっと言うと、一人の異性として見てるわけ?」
鎌「叶のことピーーー(自粛)ーーーしたいと思うわけ!!?」
由「ちょっと鎌足!!!!」
鎌足の叫びと由美の怒号を受けて、宗次郎は刹那、目をぱちぱちとさせるものの、
「やだなぁ、二人とも。」
「「!?」」
にこりと微笑んだ。くすくす、と囁くような笑い声が洩れる。
「僕が、叶さんを好いてる?
叶さんに惚れてる?
叶さんを愛してる?
叶さんを一人の女性として見てる?
僕が#叶#さんをピーーー(自粛)ーーー
「ボウヤ!!!それ言っちゃダメ!!!」
…したいと思ってる?」
「「………!?」」
暫しの沈黙の後で、宗次郎は真っ黒な笑顔で呟いた。
「…吐き気を催すような気持ち悪い言葉。やめてください。(にっこり)」
「「!?」」
凍り付く二人をよそに宗次郎はふふ、と目を細める。
「僕は叶さんの飼い主で、叶さんは僕の下僕ですから。」
「ちょっとーー!!宗次郎!!なんで私が宗次郎の下僕になってんの!?」
「あ、叶さん。」