第4章 ほんの出来心
宗「すみません、志々雄さん。勝手に三日も空けちゃって。」
志「おう。」
宗「これおみやげです。」
方「宗次郎、話の途中だ。後にしろ。」
宗「おいしいですよ。」
ぱかっ。
一同「「「………」」」
志「……ありがとうよ、御苦労だったな。後でおいしく頂くぜ。」
……
「あ!宗次郎お帰りなさ、ああああ!?」
「ただいま叶さん。」
なぜだ!?なぜだ!?なんかこの人怒ってる!?
いや笑顔だもん、とても怒ってる顔には見えないんだけどさ!
部屋に入るなり目にも映らぬ速さで一瞬にして私の目の前に。と同時にいつの間にか喉元に剥き出しの菊一文字が…
「えぇぇぇぇぇ…!?」
「お元気そうで何よりです。」
「今まさに死んじゃいそうなんですけど…!」
「そうなんですか。残念だなあ。」
「いやあ、あなたが下手人なんですが…」
首にぴったり刃がついてる…ああ、ほんとに最期かも。
まだまだ悔いがあるよ…最後の晩餐は牛鍋たらふくがよかった…
「何を言ってるんですか。たらふく食べましたよね?」
「食べてないよ!白べこまだ行ってない!」
「馬鹿ですか?」
「え?………あ、ひょっとして、京菓子?」
「なんだ。心当たりあるんじゃないですか。」
「うっそー!?おみやげですって皆の前で、それも真面目な場で空けたら…空っぽだったって…」
「…」
「……ぷふふふっ」
「何笑ってるんですか。」
「!いったあ!だ、だって。」
「あなたのせいですよね?」
イライラしたんで、とりあえず峰打ちを入れてみました。
「どつかれた…!」
「叶さんの餌ならいつもあげてますよね?」
「犬扱いですか。」
「もっと下です。」
「まじすか。」
「寄生虫ですね。」
「…え、まじすか。」
「とにかく。何なんですか、言いましたよね?志々雄さんへのおみやげだって。」
「だって…あんなに多いから一箱は私の分かなって思っちゃって…」
「志々雄さん由美さん十本刀の皆さん叶さんの内訳で、なんで三分の一が叶さんの分なんですか。」
「気になって空けてみたら、美味しそうでつい…」