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彼に食ってかかられる

第20章 三度目の正直


「えっ…!?え、えっ!!?」

「だから、いいんじゃないですか。というか、もう諦めてます。」

「そ…それは、けなされてる…わけ?」


純朴そうな顔は紅く火照っていく。



「さあ?それは叶さんの解釈に任せます。」

「で、でも…っ、そんなこと言われても」

「…困りますか?」


こくこくっ、と首を縦に何度も振る姿に



「じゃあ…」


つい含み笑いを溢してしまう。



「真実を聞かされたいってことですか?僕の口から。」

「…う、えーと…!」



「…一つ、気になったことがあるんですけど。いいですか。」

「……なに?」

「そんなに動揺するってことは…」



細い両肩を両の手に優しく収める。



「…叶さん、意識してますよね…?僕のこと…」

「ッ!?」



真っ赤な顔で見開かれる瞳孔。



「ひょっとして…?」

「うわあああ//近い!!」



「…減らず口はしまっておきましょうね?」



ぴっ、と人差し指を彼女の唇に当てて閉ざす。

いつもとは違い、まっすぐ見つめてくる視線に押され、叶は緊張した面持ちを浮かべる。しかし、宗次郎は彼女に向けた瞳を決して逸らさない。



「だ、だって…」

しどろもどろとしながら口を再び開く叶。




「意識するよ…なんであんなことするのかなって…

…いつもは、食ってかかられて出し抜かれてああだこうだ言い合ってて。そんな風じゃなかったのに。な、なんで急にあんな…///」


「……急にじゃないですよ。」

「…えっ?」



急に、ではない。たぶん、ずっと前から…

想定外のことに叶は目を丸くしている。でも、そうやって呆然とする彼女に僕は微笑みかけた。



「知りたいですか?」

「え…?」

「僕のこと…叶さんをどう思ってるのかってこと。」

「……!」



あの時──口付けされた時と同じ目をしている彼に、叶の心臓は高鳴る。

──理解したい、知りたいと思うのは…どうして?
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