第19章 恥ずかしいけど
「あっれー!?叶!もう、どこ行ってたのよ!?心配してたんだから!」
操ちゃんは心底ほっとしたようで、ちょっとだけ、お説教された。
「操ちゃん…心配かけてごめんね!本当にごめん!大丈夫だったから!」
「もう日も暮れるけど…帰れる?なんなら、うちに泊まってっていーよ?」
「あ、ううん。すぐそこまでお迎え来てるから大丈夫!ありがと!」
途端に瞳がらんらんと輝き出す操ちゃん。
「…え!?例の彼が来てるの!?」
「!違う違う!」
「すぐそこにいるんだ!?」
「いないよっ!!」
「ひゅーひゅー!!叶の彼氏さぁーん!聞こえる-!?叶のことよろしくねぇー!!」
「みみみ操ちゃんっ//やめて!近所迷惑!」
「…ごめん、宗次郎ありがと。」
「いいえ。」
操ちゃんと離れ離れになったままだったから、心配かけてごめんねと言うために宗次郎に送ってもらったんだけど…
それはいいとして。
…やばい、宗次郎の顔また見れなくなった…。
人通り多いしガヤガヤしてるから、もしかしたら聞こえてないかな…!?
ちらり、と覗き見すると、腕組みをしていた宗次郎はこほん、と咳払いをしてじとっとした目線を投げ掛けた。
「…一体全体、何の話をしたんですか。」
あちゃー…聞こえてた…!
「なんかまあ…ご、誤解を与えてしまっていて…//」
なんて言えばいいわけっ…
「誤解、ねえ…」
「…ごめん、勝手に。」
「……別に、謝ってほしいわけじゃないんですけど。」
「へ…?」
「……なんですか、その顔は。」
珍しく眉間を寄せて、じろりとこちらを見下ろしてくる。
不機嫌なような、困ったような……もどかしそうな……何か言いたげな………見たことのない、顔。
こん、と額を小突かれた。
…思ったほど痛くない。
「……?」
「…ほら、顔上げて。帰りますよ。」
帰路に続く方向を向き、青い着物が翻る。
…少し躊躇いながら、その袖をつい、と摘まんだ。
「?なんですか。」
「…宗次郎、あのね。」
振り向いた彼にえいっ、と包みを差し出した。