第18章 She is mine
「ふえ?」
「……」
……え?宗次郎さん?宗次郎さん?
目を開けると少々たまげた。
何か、抱えられてるんですけど。
それも、犬っころみたいな持たれ方なんですけど。
…ヒロインしろって人に言うなら、ここは普通お姫様抱っこしない?
いや、そんなこと言ってる場合じゃないない。
「え?宗次郎さん?は?」
「……」
え?なんで無言?
え、なんでそんなピリピリしてるわけ?
っていうか!
「ぎゃー!変態!おっぱい当たってるって!!」
「は?ないものを触ってるように言わないでください。」
「はあ!?」
暴れようとすると、
「もう黙っててください。」
「!もがっ!?」
口を塞がれた。もがもごしている内に宗次郎はにこにことチンピラ達を見やる。
「彼女に目を付けるとはなかなかですね。」
(訳・こんなじゃがいもに)
「お見逸れしました。」
(訳・こんな貧相なじゃがいもに)
「うん、そうだなぁ。分けてあげたいけれど。」
(訳・こんな貧弱なじゃがいもで飢えが凌げるなら)
(殺す…宗次郎は私の手で殺す!)
けれど、宗次郎は颯爽と言い放った。
「でも…これは僕のだから。あげません。」
……。
「さ、行きますよ。叶さん。」
「え、あっ……」
そう言うが否や。
全身を襲う風の勢い。…縮地かなぁと感じた。
次々に迫り来る情景がぶつかりそうで、また目を瞑らざるを得なかった。
そして、ぎゅうっと宗次郎にしがみついた。
──なんかちょっと…ドキドキしてしまっていた。
She is mine
彼女は僕のもの。
(ね、宗次郎。ちょっと…速過ぎて怖い。おろして。)
(……)
(…ねーってば!そんなに怒らなくてもいいじゃない。)
(……(そんなに抱き付かなくたって。僕だって男なんですけど。))