第18章 She is mine
「…なんで叶さんが襲ってる側なんですか。そろそろ空気読んでください。」
「ああよかった、軌道修正できた!」
「なんで叶さんが襲ってる側なんですか。」
さっさと答えろと言われた気がした。
「…ああ、なかったことにするのね。だってね、仕方ないじゃん。」
「いい加減にしてください。そろそろヒロインらしく振る舞ってもらえます?」
「え?ヒロインらしく?」
「ロミオとジュリエットとか知らないんですか?」
「ロミジュリ?え、なにそれおいしいの?」
「もうちょっと女の子らしくするとかあるでしょう?」
「充分女の子じゃん!だってこの人達、私をナンパしようとしてたんだよ!他の誰でもない、この私を!!」
どや!と胸を張った瞬間。
……暫くして、何かいらない墓穴を掘ってしまったような気がした。
否、掘ってしまったに違いなかった。
宗次郎は聞こえよがしに三、四人の男の人達に告げる。
「ほら、あなた達。叶さんに手を出そうとしたんですよね?」
「え、結局俺らが悪いのか?」
「このタイミングでまた吹っ掛けんのかよ?」
……ああああ。怖い!なんかオーラが黒い!なんか笑顔も何もかもが真っ黒!!もう見てらんない!
思わず目を覆うと……
あれ?体が宙を浮いた。