第17章 窮鼠猫を噛む
「あっれー…?やばい…ここどこ?」
これは…迷子というやつでしょうか。
勢いに任せてどこそことなく走るんじゃなかった…
やばい、変な路地に入り込んでしまったみたい。
「うわー…どうしよう…」
とりあえず、人通りが多いとこに出なきゃ。
それで、誰かに道を聞こう。
こう人がいないんじゃ死亡フラグ、操ちゃんにも会えないし、そしてお家に帰れない。
……まあ家に帰っても死亡フラグあるけど。
調子こいてボウヤへ、なんて書くんじゃなかった。
──はっ、宗次郎!!
『叶はその人を愛してて!その人も叶を愛してるんじゃないの!?』
違う!宗次郎に限ってそれはない!私に関してもそれはない!
だって!なんで、言葉の暴力振るわれて、殴られたり叩かれたり峰打ちされたりとか暴力も実際振るわれて、さながら姑にいびられる嫁の如く…さながら食虫植物に溶かされる害虫の如く…ん?害虫?私、害虫?
おかしくない?
いやいやいや、論点ズレてる。いつもだけど。
とにかく、日常的にあんな仕打ち受けてるのに恋に落ちるとかないから!私ドMじゃないから!
(でも…四乃森さん追い掛けてた時に手伝ってくれたり、励ましてくれたり…見た目に寄らず優しくてお世話焼きなんだよね…。そういうところはちゃんとわかってる。宗次郎はいい奴なんだってことくらい。)
たしかに、きゅんとしたことや、ドキッとしたこともあるけど…
…あれ?なんでこんなにずっとドキドキしてテンパってんだろう?私らしくもない。これじゃまるで私……!!
あややややや!宗次郎に、恋!?
私、乙女!?恋する乙女!?んなバカな!!
ブンブンブンとヘドバンの如く頭を振りまくってると、
「「「兄貴!!?」」」
え?兄貴?
三、四人くらいの男の声に反応して振り向くと、三、四人くらいの男の人がいた。
「え?なんでなんで!?私どこをどう見ても女の子ですよね!?姉貴ですよね!?イケメンに見えたなら謝ります!」
「バカかてめーは!」
「てめーは自分が何しでかしたのかわかってんのかぁ!?」
「はえ?」