第16章 まさかのスイッチ

目を点にする叶。しかし操は止まらない。



「もう何も言わなくて大丈夫！あたしには伝わったよ！」

「え？何が…？」

「きっと、叶がそこまで想ってるんだから、本当はいい奴なんだよ。だって、叶はあたしの大事な友達だからね！そんな叶が好きになる人なんだから、きっといい人よね！」

「あ、あの？操ちゃん？」

「叶も隅に置けないなぁ～。そっか、叶はその人と仲直りしたくて、それでこんな手土産まで…！大丈夫！きっとうまくいくよ！あたしが保証する！！」

「操ちゃん、操ちゃーん？」



「というか、その人も叶のこと好きなんだったりして！？」



「………え？」



笑顔で覗き込んできた操の言葉に、はたと固まる叶。
操は目を輝かせながら思うままに叶にまくし立てる。



「そうだよ！きっとその人、叶が好きなんだよ！」

「え、好き？」

「うん！」



操は拳を握ったかと思うと、ぽん！と手を打つ。



「だから色々意地悪とかしてくるんだよ！」

「え」

「だって叶みたいなかわいい子、ほっとけないもん！一緒にいると幸せな気分になれるもん！」

「え」

「両想いだよ！きっとそうだよ！！」

「え」

「ここはもう！！叶が愛を伝えたら即オーケー…」

「…っ、違う違う違う違う！！！絶対違う！！！」



声を大にして叫んだ叶に操は思わずひっくり返る。



「うわぁ！何よ急に大声出して！びっくりするじゃない！」

「違う違う違う！！絶対に違う！！絶対違う！！！」

「違わないって！好きなんでしょ！？その人のこと！」



叶はムキになって叫ぶ。



「違う！！好きじゃない！！」

「愛してるんでしょ！！」

「あっ！？あい！？愛って…っ、愛！！？///」

「他に何があるのよ！叶はその人を愛してて！その人も叶を愛してるんじゃないの！？」



首まで真っ赤にした叶の顔から勢いよく湯気が出る。