第53章 【ハロウィン話】お菓子といたずら
間近に僅かに宗次郎の吐息を感じて──刹那。
頬の高いところに、そっと、くちづけを落とされた。
「っ…///」
「…あーあ。」
溜め息混じりの吐息が叶の睫毛にかかり、ぶる、と思わず体が震える。
「…付け込んじゃいましたよ、もう。」
すうっと、距離を少し保ちながら見つめられる。
そして弧を描く彼の紅い唇。僅かに覗いた紅い舌。
胸の鼓動は高鳴ったまま。頬を染めた叶はそっと呟いた。
「…今日だけ、特別。」
「……真っ赤になってるくせに、生意気だなぁ。」
宗次郎は優しく叶の髪を撫でた。
お菓子といたずら
(どれもこれも甘くて溶けてしまいそう。)