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彼に食ってかかられる

第8章 想い、ひとひら


※軽く下ネタ。宗次郎に少しちょっかい出されるので注意くださいませ。





「叶さーん。」

「はぅあっ!?!」

「なんですか。奇声なんて求めてませんけど。」



ありえない。ありえない。ありえない。部屋で書き物してたらノックもなしにいきなり宗次郎が入ってきた…!



「~~!!」

「いちいち大袈裟だなぁ…」

「な、なんなんですか!?」

「用事ですよ、用事。」

「そうじゃなくて、デリカシーって知ってます!?」

「は?」

「…は?」



『は?』ってどういうこと?なんで勝手に入ってきた宗次郎の方がこんなに堂々としてるわけ。理不尽極まりない。
何だそれ?みたいな顔してる。こっちがは?なんですけど…



「叶さん如きに注意を払えと?」

「なにその言い草。酷っ。」

「あれ?何か隠しました?」

「!こ、これはなんでもっ!」



やばい!机に慌てて覆い被さった。しかし、なんてこと。背後から覗き込んでくる。



「見えないじゃないですか。」

「見なくていいから!」

「文?」

「あっち行って!」

「どうせ大それた内容なんてないでしょ。叶さんの頭の程度なら知れてます。」

「なんだとこのっ…」



顔を上げかけた時だった。耳元がぞわりと総毛立ち、私の体は強張る。



「…っ、ちょっ…!」

「んー?」

「なに、…?」

「別に?何もしてませんけど。」



きょとんとした様な表情で見下ろす彼。何だったんだろう、さっきの感触は。

そう思っていると視界の隅で宗次郎の頭が動いた。え?と横目で追っていると、うなじ辺りに視線を感じた。



「…そ、宗次郎?」

「……」



振り向こうとする私の耳元を生暖かい空気が襲った。



「ひ、……っ!」



宗次郎がふー…っと、息を吹きかけたのだった。



「っ、!」

「…ひょっとして」



確信したかのような宗次郎の声が聴覚を襲う。

耳を塞ぎたい。けどこの書面を隠している手を外したら宗次郎に見られてしまう。それは嫌だ。



「…叶さん、耳、弱いんですか…?」

「…?そんなの知らな、い…」

「ふーん…」



…なんだか探り当てた喜びというかそんな感じの笑顔だこの人。なんか企んでる声だこれは。
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