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彼に食ってかかられる

第47章 熱烈な恋を捧げたので


「叶さん…どうぞ。」

「!!??」


思わず仰け反ってしまった。


宗次郎に、真顔で「叶さんに見せたいものがあるんです」なんて言われて。

“何だ?え、何だ…?”と思いつつ体勢を整えていたけど…


「…ほら、さっさと受け取るか、いらないって言うかどっちかしてくださいよ。」

「えっ、あ、うん…いや何、そのツンデレぶり。」


──若干、照れたようにぶっきらぼうにする宗次郎。

突然のことに叶は圧倒されながらも、恐る恐る手を伸ばして受け取った。

真紅の薔薇の花束を。


「…ありがとう。」

「たまには…何かこういうの贈るのもいいのかなって思いまして。」

「え、あ、ありがとう。」

「…お付き合いしてそれなりに経ちますし。」

「そ、そうなんだ…ありがとう。」


呆然と立ち尽くしていると、じっと見つめられた。こちらの様子を慮るように。


「…あまりお好みじゃなかったですか…?」

「えっ!そ、そんなこと、ないよ…!」


──不安げな目をしている宗次郎。


「本当ですか…?」

「うん、とっても嬉しい…!ごめんね、ちょっとびっくりしちゃって…」


叶は花束と宗次郎の顔を交互に見ながら少し頬を染める。


「…こんな感じなんだね。」

「……?」

「…好きな人からお花贈ってもらうのってこんな気分なんだ…///」

「…!」


はにかみながら告げる叶に、宗次郎は思わず手で口元を覆う。


「その、こんなの初めてだし、ましてや宗次郎からだなんて…」

「叶さん、その…」

「?」

「それ以上言わないでもらえますか。」

「えっ?」

「…もう大丈夫です…//」



「でも、まだ言い足りないことが、あるっていうか…うん…」

「……じゃあどうぞ。」


宗次郎は困ったようにこちらを見たけれど、恥ずかしがるように目を逸らす。

その仕草に、ますます叶は胸が高鳴って。
自分も贈らなければ、と感じた。


「…宗次郎、大好き。」


花束を柔らかく握りしめて、叶は微笑んだ。

宗次郎は二、三度瞬きした後、目を丸くして、そして頭を抑えてうなだれた。


「……はあ、叶さん。」
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