第44章 で?
「こほん……でも単純に、言ってもらうと嬉しいと思うんだけどな。宗ちゃんのことが叶は好きなんだから。デートしたいってことは、相手と長い時間一緒にいたいってことでしょ。それだけ想ってる相手ってことでしょ。
それに、普段宗ちゃんは心の内や考えてることが読めないから…そんな宗ちゃんに誘ってもらえれば余計に嬉しくなると思う。」
「……」
「そう思わない?」
そう話しながらも鎌足は内心囃し立てていた。
(あ~~♪悩んで頬染めてる宗ちゃんもかっわいいわね!何なら可愛がってあんなことやこんなこと仕込んで)
「ありがとうございます、鎌足さん。とりあえず軽く死にかけてみますか?」
「ごめんなさい、不粋なことはもう考えません。」
* * * *
「あり?ここにいたんだ、宗次郎。」
「あ、叶さん。」
「ねね、由美さんが美味しそうなお煎餅買ってきてくれたんだ。一緒にもらいに行こ♪」
「…叶さん、あの。」
「ん?」
「で……んせつ。」
「んん??あ、伝説呼ばわりのお煎餅だったかな?」
(…天然だなぁ。)
「じゃなくて、で…木偶の坊…」
「は?え?わ、私のこと?まあ…言われると合ってるっちゃあ合ってるけど。」
(なんで今日に限って全部納得するんですか。)
「……じゃなくてですね。」
「?」
「えっと…その、で…でっち上げたいことがありまして。」
「宗次郎、ひょっとして疲れてる…?」
思わずおでこに手を置こうとする叶の手を宗次郎はそっと掴んだ。
目を丸くして宗次郎を覗き込む叶に、その愛らしさに言葉を詰まらせそうになりながらも。
「あの、ほら。思えば僕から誘ったことってないですし。でも、やっぱりその、僕だって叶さんといたい気持ちはありますから…」
「……?」
「えっと、
…デートしませんか?」
後書き
『…もしかして今日、ずっと誘おうとしてくれてたの?』
『!!違います。ちょっと誘われたからって図に乗らないでくだ、』
『嬉しい-!!ありがとうね!どこ行こっか?』
(…何も言えないですね。)