第41章 【桃の節句話】花酔い日和
「……!!//」
「…ね、叶さん…ぎゅーってして?」
「…え、ええっ?//」
「ぎゅーってして?」
「えぇぇ…//」
「……叶さんから来ないなら。」
「きゃっ、」
「無理やりしちゃいますから♪」
飛びつくように抱きしめられた。勢いで床に二人して転がって……
「つかまえた♪」
(うわあああ///)
……私も、もうこうなったら。
少し躊躇いながらえいっ、と抱きついた。
抱きついた……
あれ?何の反応もなし?宗次郎さん?
──身体を少し捻って、少し上の方にある彼の顔を見ると。
「……あれ?寝ちゃったの?」
長い睫毛が閉じた瞼の上にさらさらと覆い被さっていて。安らかな寝息を立てていた。
「ああ、寝ちゃってる……」
「叶さん…」
「!」
「……幸せです。」
へにゃ、と力なく微笑んだ宗次郎の顔。…しばらくは忘れられそうにない。
優しく彼の頰に手を滑らせ…いつまでも見つめていた。
──桃の花の香りに埋もれた白昼夢。
花酔い日和
(ねえ叶さん……僕、何かおかしなこと言ってませんでした…?)
(おかしなことって?)
(……)
夢かなぁ…
叶さんに向かって、大好きって言った覚えがあるんですけど…どうしようかなぁ…//