第1章 1
・・・・・・・ふぁ?
「えっ・・なんで・・」
驚きで言葉が続かない。
今、跡部のカミングアウトにより、私は目の前の奴を凝視するしかなかった。
ありえないでしょ・・・。
「私、テニス部に興味ないんだけど」
「そこも買ってお前を選んだんだ」
「いや、まずルールとか細かいことも知らないんだけど」
「そこはこれから知ればいいだろ」
いやいやいやいや
そこではなく!
私が言いたいのは何故、私を推薦したのか。
・・というか断りもなく推薦ってどういうこと!?
色々とモヤモヤ考えたが最終的に「こいつ勝手に決めやがったな」という言葉が出てきて心底跡部という奴に嫌悪感が沸いた。
「なんで私なの」
イラつきを隠せず・・いや隠そうとせず目の前の涼しげな顔をした奴に問う。
「理由なんて簡単だ。選ぶ基準にお前が当てられたんだよ」
上からの物言いをする跡部にまた眉間に皺を寄せる。
しんっとしていた部屋の空気がやがてピリピリとしたものに代わっていった。
「私、マネージャーなんてやらないから」
「お前が嫌だろうと無かろうと関係ない。推薦はした。後は監督の納得次第だ」
何勝手に決めてんの?こいつ何様!?
内心そう叫びたい気持ちを抑えて、冷静になれと連呼。
「言っとくけど跡部。私、あんたのこと嫌いなの」
だから一緒の部活に入りたくないと伝えたところ彼は「・・言うじゃねーの」と口元を緩ませた。