第1章 1
何をしてるんだろうと思い覗いて見ると先輩は散らばったボールを拾って籠の中に入れていました。
ここの部屋はコートから少し離れているしボールが転がることがないと思っていたけど・・
テニスは打つスポーツだからこんな所にも転がるのか・・・
先輩よく気がついたなぁ・・・
見習わなきゃっ!
早く洗濯物を干して手伝いに行こうっと思った時、窓辺にもう1人の影が映った。
あ。宍戸先輩だ
黒瀬先輩は驚いたみたいで目を見開いていました。
宍戸先輩は軽く黒瀬先輩に挨拶したのち、しゃがみ込み籠にテニスボールを入れ始めました。
黒瀬先輩は少しの間固まっていましたが、はっとしたように地面に転がったボールたちを籠に入れていきました。
ボールを全部籠に入れてしまったのか黒瀬先輩は籠を持ってコートの方へと向かおうとしました。
でも急に黒瀬先輩はピクッと体を硬直させ足を止めて宍戸先輩の方へと恐る恐る振り返っていました。黒瀬先輩は目線が上げれないのか宍戸先輩の足元ばかり見ていましたが、宍戸先輩が何かを言った途端、先輩の顔が・・・曇りだしました。