第1章 1
歩きながら最近頑張っているコミュニケーションのことを考えた。部員とは挨拶を交わす程度まで上達した。まだそんなもんかと思われるだろうが、私にすれば結構良い方。でも認められるにはもっと喋らないといけないし、動かないといけない。私は日夜頑張って「人と話すこと」と「テニスを理解し、好きになる」をマスターしようとしている。
・・・表現がおかしいかもしれないが・・。
屋内に設置してある物干し竿のところまで洗いたてのタオルやTシャツを2人で干していると不意にるりりが私に話しかけてきた。
「先輩、最近どうですか?ちゃんと話せてます?」
「あ~・・挨拶はしてるよ」
「挨拶ですかぁ・・」
るりりは困ったような笑い方をして私の悩んでいることを質問してきた。るりり話すようになってから段々と仲良くなっていき、相談事もするようになった。するとるりりは自分の事のように一緒に悩んでくれて・・・素直に嬉しいと思った。
「部員の顔は大体覚えたんだけど・・」
「あ~、2軍も合わせたらかなりいますもんね。私も覚えるの必死でした」
「2軍の人たちは何だかんだで一時期一緒に仕事をしてくれてたからちょっとは喋れるんだけどね・・」
「え?そうなんですか?」
「うん」
「え?じゃあ日吉くんとも・・?」
「あぁ、たまに会ったら」
「え!そうなんですか!?」
「図書館によく来るし自分もカウンターで作業してるからね」
「凄いです、先輩・・!」