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犬猿の仲

第1章 1




質問をしてくる彼に視線を送ると彼は「お前、本気でテニス好きなわけ?」とまた質問を投げかけてきた。そして、彼が言いたいことがなんとなく察しが着いた。
つまり彼が言いたいのは「この部活に熱心に取り組めるか」ということなのだろう。



「お前が結構役に立つ奴っていうのは理解してるけど、好きでこの部活に入ったわけじゃねぇ」


彼は私の目を見ながら話す。そんな彼から視線を外さず彼が続ける言葉を無言で私は聞いていた。


「別にお前がやる気がないとか言ってる訳じゃねーけどよ。俺らは全国目指してんだ。だからその気がない奴はいらねーんだよ」


これは彼の本音なのだろう。直球でぶつけてきた言葉に私は反応出来ず、ただ黙ったまま彼を見ていた。
すると、少しの間沈黙が生まれ気まずい雰囲気が出てきた。丁度反対側のコートから「宍戸ー!」と呼ぶ声が聞こえ宍戸君は「おー」と返事をしてその空気を切り抜けるように呼んでいた仲間の元へ行く。








その後今日の部活も終え、帰宅時間となった。
相変わらずもう1人のマネージャーはガッチガチで結構抜けてる子だと分かった。彼女は1年生らしい。成績も上の方。そして何より見た目がとてもキュートだ。


「先輩!あの!これからお世話になります!よ、よろしくお願いします!」と帰り際近距離にいるのに対し大声でそう告げられたので少し驚いてしまった。でも、こちらも敬意をしめすため「こちらこそよろしくね」と伝えた。





帰宅してすぐ晩御飯で風呂に入り、あとの時間はグダグダと自室で過ごしていた。そしてベッドにダイブし、今日宍戸君に言われた言葉の意味をを考える。


彼は本気でテニスをしている人だ。
だから特に意思もなく入ってきたテニスの経験もない奴を見てイラついたのだろう。しかも私は1軍のマネージャーになった。1軍ということは氷帝テニス部の代表選手だ。そんな本気で勝利を目指している人たちの所に私なんかが入り込んでは邪魔以外の何者でもない。



・・・・私にどうしろというんだ






結局モンモンとした気持ちは消えず、そのまま寝てしまい朝を迎えた。


あぁ・・・憂鬱だ






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