第1章 1
「お前、ほんっと無愛想だな」
「は?」
コートに散らばったボールを籠に入れている最中、急に頭上から声が降ってきた。しかもいきなり滅茶苦茶失礼なことを言われた気がする。
声が降ってきた方を見上げると髪の毛をポニーテールにくくった部員が立っていた。名前が・・・確か・・・
「・・・塩見君?」
「宍戸だよ」
「あれ」
「し、しか合ってねーじゃねぇか」と眉間に皺を寄せながら彼はしゃがみ込むと散らばっていたボールを掴み籠の中にひょいと投げ入れた。
「私に用事?」と聞くと「別に用事はねーけど」と眉間に皺を寄せたままボールを籠に次々と放り込んでいく宍戸君。
確か宍戸君は2年生。私と同じ学年だったはずだ。部室で自己紹介をした時言っていた・・気がする。
「手伝いに来たの?」
「あー・・まぁ大変そうだったし」
「別にいいのに。練習は?」
「今休憩中・・ってか普通そこはありがとうだろっ」
「あー、ありがと。ボール拾い手伝ってくれて」
「全然有り難味を感じないな」
やたらつっかかってくる宍戸君に特に関心はなかった。自分が無愛想っていうのは自覚あるし、それにあまり親しくない人と話すのは正直面倒臭い。ちゃっちゃとボール拾いを終わらせて部室に戻りたいと思ったのだが、宍戸君はやたら話しかけてくる。
「跡部に無理やり入らされたんだって?」
「あー、うん、まぁ」
「好きでもないことして楽しいか?」
「・・・・何が言いたいの?」