第1章 1
「お前、すげぇテキパキしてるって評判だったぜ?」
「え?」
私の横に立っていた向日が私の顔を覗き込むように体制をしゃがめて私に言った。
「まぁそういうことだ。お前の頑張りはこちらも評価してる。だから1軍のマネージャーとして擱くことにしたんだ」
続けて跡部も腕を組みながら私に語りだした。
いきなり2人から褒め言葉を貰い、少しむず痒い気持ちになった。目線を下に下げ、恥ずかしさからもごもごとした口ぶりで「これからよろしくお願いします・・」と告げた私。すると座っていたメンバーも「よろしく」と私に返してくれた。
「よし、じゃあまず名前と顔を覚えねぇとだな」
そう言って跡部は座っているメンバーの方へと顔を向けた。そしてそれを合図にするかのように一斉に椅子から立ちだすメンバー。その中の1人が私の方に顔を向けにこりと微笑みながら名前を告げた。
「俺は滝萩之介・・って知ってるか、ここでは部の会計係やってるよ」
「よろしく」と私に不敵な笑みを向けた滝。
この人・・・あれだ。文化活動委員で一緒だった_____
そう、彼、滝萩之介とは委員会で一緒だった。
私は図書委員だけど、代表選挙の際に滝より票が高かったため文化活動委員になったのだ。
でも本来私は図書委員だから文化活動委員の仕事はしない。そこら辺は彼がやっているみたいだが、代表を取ってしまった身なので彼の笑みを見た時なんとも言えない感情に包まれた。
やばい・・・・
絶対根に持ってるよ。この人・・・・。
その後次々と名前を言っていくメンバーたち。1軍レギュラーは全員で8人。まぁ2軍の数よりはましだと思った。
とりあえず「滝萩之介」は即覚えた。