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犬猿の仲

第1章 1





放課後、部活に行こうと席を立つと忍足に呼び止められた。
特に用事はないそうだが、一緒に部活に行こうと誘われた。
断る理由なんてなかったから一緒に行くことにしたが、あまり話したことがないので少し気まずい。


廊下を歩きながら沈黙が続く。
2人を取り囲む空気に耐えれなくなったのか忍足が私に話しかけてきた。


「今日の全校集会、随分大胆やったなぁ」


「・・私も聞いてなかった」


「そーなんか、てっきり打ち合わせ済みかと思っとったわ」


「そんなわけないでしょ。打ち合わせてたんならもっとスマートに行うよ」


「さよか」そう言ってくすくすと笑い出す忍足。
何がおかしいのか全然分からないけどこっちはそんなことどうでもいいくらいテンションが下がってた。

不意に忍足が「どなんしてん?」と私の顔を伺う様に覗き込んできた。


私は少しためらったが、このどうしようもないモンモンとした気持ちを吐き出した。


「・・私、そんなに力不足?」


「は?」


忍足はきょとんとした表情を見せたあと、「何でそう思うん?」と聞き返してきた。


「いや・・だって・・」





マネージャーがもう1人増えるのは別にかまわない。
でも、そのもう1人増える理由は私に原因があるからなんでしょ?

確かに最初は全然動けてなかったし、部員の何人かに手を借りたこともあったけど、最近はキビキビ動けてたと思うし、雑務もちゃんとできるようになってきた。


それでもやっぱり動けてなかったのだろうか?



俯いて黙り込んでしまった私を見て何かを察したのか忍足は
「別に自分が動けてへんとは思わんで」と励ますような言葉をかけてきた。

その言葉につられるように忍足を見ると微笑みながら言葉を続けた。


「マネージャーが増えるんは黒瀬さんが動けとったからや」


「え?」


「どういう意味?」と聞き返そうとしたけど丁度その時ドシッ忍足が前のめりに倒れこんだ。


「ゆ~うしっお疲れぇ!」


そう言って忍足の背中に圧し掛かっているのは確か・・・


「岳人!重いわっっ!どけやっ!!」


忍足は背中に乗っている人物を振り払っていたが、その岳人という男子生徒は忍足の横に居た私に目線を移す。


「あ!お前!!」





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