第1章 1
教室に戻り、席についてすぐのことだった。
バンッッ!
私の机に誰かの両手が振ってきた。
驚いて顔を上げるとそこには眉間に皺を寄せて頬を膨らませたつっちーが立っていた。
「どぉーして言ってくれなかったの?!」
つっちーはじぃーと私の顔を目線を合わせて覗き込んでくる。
私は後ろめたさから目線を逸らし、苦笑いをする。
するとクラスの他の女子も私の机に集まってきて「つばきさんテニス部のマネージャーだったの?!」「いつから?!」など、次々と色々な質問が降ってきた。
全校集会が終えてから私は憂鬱でしょうがなかった。
このあと、女子にシメられたらどうしようとか、嫌がらせ受けるんだろうかとか色々な不安があった。
それともう1人の子は私と一緒で急に名前を呼ばれマネージャーにさせられたみたいでステージからでも分かるくらいにそわそわしてた。
あの子も今頃大変だろうなぁ・・とか考えているとつっちーが「ちょっと!聞いてる!?」と興奮気味に私に問いかけた。
「あ、うん。ごめん」
「も~~~・・黒瀬・・・。言ってくれたって良かったじゃん・・。」
「・・・ごめん」
我に返り目の前のつっちーの表情を伺う。
つっちーはすごく不満そうな顔をしていたけど、その表情の中にも色々な感情が混ざっているように見えた。
そうだよね。友達に隠し事されたらやっぱり悲しい気持ちになるし、信用されてないのかなとか言ってくれてもいいじゃんとか色々思うよね・・。
私はもう一度つっちーに「ごめんね」と言うと「・・まぁ言いにくいのも分かる」とまだ不満そうな顔をしていたけど、ちゃんと言葉を返してくれた。
すると周りの女子も空気を読んだのか「確かにテニス部マネージャーになりましたーとか堂々と言えないよね」と笑っていた。
意外と皆よき理解者かもと思ったけど、「でも!質問には答えてもらうよ!どうやってマネージャーになったの?!」とまた質問を繰り返してきた。
私は苦笑いしながら、まぁこれも言わないとだめかなぁ~とか思って質問を1つ1つ答えていった。
まぁアバウトに・・・だけどね。