第1章 1
次の日のことである。
急に忍足が「なぁなぁ」と話しかけてきた。
丁度昼休みのことである。
私は友達のつっちーとお喋りしながらお弁当を食べていたのだが・・
「・・何?」
「あからさまに嫌そうな顔すんなや」
「ホンマに・・」とぶつぶつと念仏のように文句を言っている忍足につっちーも「何か用なの?」と聞いていた。
「おん。つばき自分、なんで言わへんやったん?」
水臭いなぁ~と口元を少し緩めた忍足が机の高さまでしゃがみながらそう言った。
「何が?・・・・あ」
察した。
こいつのこの薄ら笑い。気づかないわけが無い。
こいつ、あえて遠まわしで言いやがった。
「なになに?」と興味津々で聞いてくるつっちーに「いいや、なんでもないよ」というと「えー!」とブーイングがきた。
何隠してんのよ~と眉間に皺をよせ、プーと頬を膨らませたつっちー。だが、言えない。今は。
「本当になんでもないよ、忍足が暇すぎて話しかけに来ただけだから、ね?忍足」
といつもなら見せない笑顔を向けたものだから忍足が驚いて目を見開いている。笑っていると言ってもその笑みは作り笑顔。しかもドス黒いオーラを秘めているせいか「お、おお」とたじろいだ返事をしていた。
なんとかその場は乗り切ったが
(苦しい言い訳をして)
あの後つっちーはすねたままだった。
機嫌を損ねてしまったら面倒なのだが・・
あの場を乗り切るにはああするしかなかった。
因みに、昼休みが終わったあと、「クラスでその話はやめて」と言ったら「お、おう・・すまんかったな」と謝罪の言葉を受け取った。
(今日な・・俺、殺されかけてん・・・)
(((はぁ?!)))