• テキストサイズ

空っぽの箱庭で【鬼滅の刃】

第2章 残酷


 それより異変は、女の鬼だ。

 彼が義勇に叩き落とされてから、大人しくなり、じっと見ているのだ。

 鬼に知能はあるが、理性はない。
 倒れた彼を食べようとしているのか。

 油断していた義勇は、暴れた鬼の手を放してしまう。

 周囲に人影はなく、危険がないと判断してから、私は木の幹に沿って下へと降りる。

 その最中、義勇は鬼に蹴られて後ろへ退けられた。

 鬼は彼の元へ、一直線に向かう。

 食われる。
 また──、間に合わない。


 それでも、もしかしたら、
 すぐに斬れば彼は一命をとりとめるかもしれない。

 木の幹を勢いよく蹴って、鬼の元へ飛びながら抜刀する。


 斬りかかる寸前に、
 
 鬼は──、彼を守る姿勢を見せた。

 
「真白!待てッ!」

 その一言に、斬る動作を停止させる。

 無防備になったところを、鬼に蹴られ、飛んで転がる。

 鬼に成りたてな上に人を食べていないせいか、痛みは予想よりも小さい。

 安堵の溜め息を吐きながら、身を起こす。


 義勇の考えは、大体わかる。

 あの鬼は、怪我を負わされ治すためにも力を使い、鬼になる際にも体力を消費している。

 間違いなく、重度の飢餓状態だった。
 それでも、兄を守ろうとした。

 義勇はきっと、そこに一抹の望みをかけるのだろう。

/ 23ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp