• テキストサイズ

*君しかいらない*【R18】

第2章 ***




「…キスだけで感じたのか」

「んっ…!」

くりくりと胸の頂を指で弄られる。
思わず漏れてしまいそうになる声をぐっと我慢した。


「その顔…そそられるな」

「もっ…、やめて下さい…!」

「やめてほしければ、俺の元に戻ってくると言え」

「出来ません…っ…」

「…何故そこまで頑なに拒む?」

「大和さんこそ…どうして今更……」

私たちが別れたのはもう2年も前の事だ。
もう少しで吹っ切れそうだったのに、何故今更私の前に姿なんか現したのか…


「…今更……だと?」

彼の声が一際低いものに変わる。
その表情も先程までとは違って…


「この2年間…俺がどんな気持ちで毎日過ごしていたかお前に解るか?」

「……、」

「一方的に"別れてほしい"と言われ、まともな会話も出来ないまま会う事も叶わなかった…」

「大和…さん…」

「このマンションだって何度も引き払おうと思ったが、いつかお前が帰って来るんじゃないかと思って…っ…」

悲痛に歪む彼の顔。
何事にも自信満々で、強気な彼が見せた初めての表情だった。


「ごめん…なさい……でも私はあなたにふさわしい女じゃない…」

「………」

「あなたにはもっと素敵な女性が…っ…」

そう言い終わる前に涙が溢れる。
この2年間溜め込んでいたものが堰を切ったかのように…


「澪…」

静かに呟いた彼は、そっと私を抱き締めてきた。
そして安堵にも似た深い溜め息をつく。


「…やはりそうだったか」

「…え……?」

「今の言葉で確信した…。お前が俺の前から姿を消したのは、俺に令嬢との縁談が持ち上がったからだろう?」

「っ…」

図星を指され何も答えられない。
それでも彼は構わず話を続ける。



.
/ 9ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp