第2章 #02
「ちょっ、どういうこと!?」
「待て影山聞かせろ!」
「お前と七世ってそういう関係なの!?」
馬鹿影山……!なんてこと言ってくれたんだ。
大袈裟にも見える動きで皆は驚く。バサッと視線が私を向いて、影山の後ろ姿に向くのを繰り返す。
隣で研磨がびっくりして目を見開いて動かない。
皆詰め寄る勢いで問い詰めて来るけど、言い放った本人は助ける様子もなくテクテク歩いていく。
「影山…っ!変な言い方しないでよ!」
「……あ?事実だろ」
私の声にやっと後ろを向くと、ほんの少し機嫌が悪そうに言ってまた歩いて行ってしまった。
絶対に裸を見たっていうの、私と影山がそういう関係にあるって勘違いされてる……。
「付き合ってたの?付き合ってるの?」とか「マジなの!?」なんて質問攻め。違う、違う違う全然違う……!
「待って全然そんな素振りなくなかった!?」
「えっ、じゃあなんで七世ちゃんは影山呼び……」
「違います!!」
「「……」」
うるさいのを全部振り退けるように、大きな声で言う。余計な勘違いで話を進めるのはとにかくやめてください。
近くにそういう関係性の二人がいるんだから、少しくらいその可能性を思いついて欲しかった。
別に隠すつもりはなかったけど、言い出す気にもなれなかった私と影山についての関係を口にする。
「私と影山も幼馴染なの。研磨たちみたいに」
「おさなな……」
「なるほど、そういうことかよ」
「うん。ちっちゃい頃から家族ぐるみで交流してて、裸見たのだって本当に小さい頃の話」
なんだよ〜…とため息を吐く声が複数。期待に応えられないようで申し訳ないけど、私としては誤解が解けて満足。
小学校まではプールの授業も一緒だったけど、幼稚園くらいの頃は本当お互い真っ裸でお風呂一緒に入ってたしなあ。
まあ今では全然覚えてない事だし、幼稚園児と高校生の上半身なんてそれこそ全くの別物。間近で見る耐性なんて全然ない。
「はあ……」
海に浸かり始めた影山の後ろ姿をみながら、色々変わっちゃったけど語彙力のなさは変わらずだな、なんてため息がこぼれる。
ていうか本当に頭まで浸かるんだ。律儀だなあ……。
罰ゲームの内容についても改めて考えると、やっぱり酷い。この人たちは毎度こんなことをしてるのかな。