第1章 #01
もしかしたら、状況……のせいかもしれない。
部屋を出た研磨はその流れで幼馴染に反省させたいみたいだったし、戻る気がないと言っても他人の家。
あの流れだと二人でいるのが普通だし、嫌でも外についてくるしかなかったんじゃないかな。
ふむ……。
理由は検討がついたけど、研磨の考えてる事とかを勝手に話す気にはなれなくて適当に誤魔化した。
「あと黒尾を邪険にする女子も久しぶりに見たわ。結構意外だったんだけど」
「研磨にも言われた。……相当酷いんだね」
余計近づきたくない……。ていうか断らない女子も女子だよねやっぱり。
そんな女子ばかりだから拒否されるはずがないって付け上がっちゃうんだよ。
なんでそのツケが私に巡ってくるのか解せない。
影山が続ける。
「今いる中では一番酷いかもな」
「そう見える……」
「宮城に戻ればあのクソ男とかいるしな」
「お前ほんと及川さんのこと嫌いだよな」
口を尖らせながら堅治は嫌そうな顔をした。口悪いな。
しかも及川さんって、あの及川先輩のことを言ってるのか。北川第一中学にいた二つ上の、女子の憧れの的だった及川先輩。
堅治は今及川先輩と同じ高校でも行ってるんだろうか。
……私自身あの人の話題を得意としてない。及川先輩の名前には気づいてないふり、知らないふりをした。
影山と堅治はそのまま女癖の悪い友達の話を私に聞かせてくれる。及川ってやつはタラシなんだよ、という話から始まり。
今一緒にいる八人の中でタラシは三人。黒尾さん、覚くんは言わずもがな。そして、貴大さんもその一人みたいだった。
まあ、単純な消去法でいけば……。
「もし黒尾さんになんかされそうになったら、俺か研磨のとこに来い。いいな?」
「そうか?お前黒尾の挑発にそんな強くないだろ。近づかないのが一番」
詳しくは聞いてない…聞きたくもないけど、三人の女タラシでも特徴が全然違うらしくて。
気をつけるべきなのは黒尾さんらしい。覚くんと貴大さんは最初からその気の女子か、いい雰囲気の時しかしでかさないタイプ。
黒尾さんがそうじゃないのは海で肩を組んできた時に充分わかってる。
二人がそんな話をしたのは私に注意勧告するためだったみたいだ。
ありがたい……。