第1章 #01
私が研磨から話を聞いていると、前の集団から髪色の派手な二人が歩く速度を下げてきて私達二人の両隣を歩き始めた。
私の隣には赤い髪の怖そうな人、研磨の隣にはピンクっぽい茶色の髪の優しそうな人が。初めての人にこれだけ挟まれるのはちょっと威圧感が……。
この二人に比べれば少し仲良くなったような気がする研磨に、緊張の意味で視線を送る。
けどそれと同時にピンク色の髪の方が私の顔を覗き込んだ。前髪短……。
「初めまして」
「は、じめまして……」
「俺花巻貴大。よろしくな」
「俺は天童覚!よろしくね!」
このピンクの髪の人、話し方からして見た目ほど優しくないやつだ。
隣から乗り出して自己紹介してきたもう一人の方は、なんというか……テンション高そう。絶対についてけない世界観があるとみた。
二人に合わせて、再度私も学年付きで自己紹介をする。
「お二人共いくつですか?あと、なんて呼べば…」
「俺ら二人とも高三だヨ!希望は覚くんとかがいいかな〜」
「俺は後輩ならさん付けの方が好きだな……貴大さんとか?」
えっと、これもう苗字は忘れていいってことだよね?覚えないからね?
いきなり二人の名前を言われても、派手な髪色同士で名前が混ざってわからなくなりそう。今のうちに何かに結びつけて覚えておこう。
ええと、この赤い方の……というか表情が怖い方が人の考えてることを覗くことができそうだから“サトリ”……くん?だっけ。
もう一人の髪が明るい人が、一見優しそうだから心が高くて広いって覚え方でいこう。
「えっと、そのぉ……たかひろさん、と、さとりくんで合ってますよね?」
「そ!正解〜!よろしくね七世ちゃん」
「よろしく七世。あと敬語いらないからな」
貴大さんが大きな手を私の頭に乗せてひと撫でしながら笑顔を見せた。この行動が果たしてあの人とはちゃんと違う意味なのか気になる。
一緒になって女に手を出してるとかはやめてくださいよ……?
「え、でもさすがに……」
「俺らってあんまお互いの年齢気にしてないっつーか。ま、たまに敬語とか年功序列とか出てくるけど、呼び方以外は同い年みたいなもん」
「そーそー!七世ちゃんも気にしなくていいからネ」
研磨だけじゃないんだ。……これも男ならではの付き合い方なのかな?