第1章 #01
確かに見た目はめちゃくちゃ整ってるとかじゃなくても、かっこいい系ではあるだろうし身長が高くてガタイも良い。
でもパッと見は髪の毛凄いし、笑顔は胡散臭いし、何よりあんなに簡単に女に手を出そうとするなんて性根がねじ曲がってるに決まってる。
普通ではないよ絶対。
「いつもあの人のことを止めてるんですか?…貴方が」
「ううん、いつもは放っておいてる。良いことだと思ってそうしてるわけじゃないけど、そういう女のいる所にわざわざ近づきたくないし」
助けてくれたこともそうだけど、普通に純粋でいい人だな……。
すぐに手を出す男に簡単に乗る女。近づきたくないのはわかるかも……。
「あと俺の事は研磨でいいよ。変な呼び方されると違和感凄いし、敬語もいらない」
「えっと、いいの?……研磨は何歳?」
「影山とタメでしょ?ひとつ俺の方が上だけど、上下関係とかあんまり好きじゃない。ちなみにクロは俺よりひとつ上」
「その情報は別に……。じゃあ私も七世で」
「わかった」
見た目はそれほど年上感がある人ではないけど、実際に聞くとちょっと納得するところはある。高校生になりたての同級生とは、落ち着き方が違う。
でも年上を呼び捨てか……少し違和感とかあるなあ。
ふと1番見た目が大人の男らしいのが不覚にもあの黒髪の男だと気づいた。あの人が高校三年生ということはもしや……
「もしかしてこの集団って、皆高校生なの?」
「うん。学校はバラバラだけどね」
ちょっと意外……。どこか見た目が大人っぽかったから、影山の友達とはいえ大学生ぐらい混じってるんじゃないかと思ってたけど。
タバコを吸いそうなんて釣りしながら思ってたのがちょっと申し訳ないな。高校生だと分かれば、少し想像してたよりも不良みたいな人達じゃないのかも……?って気がしてくる。
全部が全部主観的判断でそれこそ悪いと思ってるけどさ……。
「でもあの人と研磨は同じ学校…?」
「そうだよ。ていうか幼馴染」
それもなんだか納得。
研磨はこの集団について歩きながらいくつか話してくれた。
今は夏休みを利用して集まれるメンバーで遠くに遊びに来ていること。学校どころか県も違う人がいること。知り合いづてにお互いが知り合ったことなんかを。